2023.11.17

M&Aの際に必要な契約書 “最終契約書” に関する解説

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解説記事

ここまで3回に渡り、M&Aの協議を進める中で必要な各契約書について解説を進めて参りました。

今回はM&Aの実行に向けた最後の契約書である “最終契約書” に関して、わかりやすく解説いたします。
但し、譲渡スキームによって最終契約書の内容や手続きにおいて「会社法」の理解が必要となる点も多く、実際の手続きは専門家のサポートを受けることが安心な面もあります。

本記事を参考に、お困りの際はサロンM&Aネット事務局までお気軽にお問い合わせください。

※サロンM&Aネットにもフォーマットがございます。ご活用くださいませ。

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最終契約書の概要

最終契約書は、契約当事者同士がM&Aの実行に向けて締結する最後の契約書です。
前回の記事において解説した「基本合意書」とは異なり、最終契約書は法的拘束力を有します。

契約における「法的拘束力」を分かりやすく表現すると「契約内容の通りに実行する義務」となります。
即ち、最終契約書に記載された各条項は「記載の通りに実行することが義務化」されているため、捺印をする前には必ず読み合わせを行い、交渉過程において合意した条件と異なっている点は無いか、曖昧な表現で相互に文章の解釈が異なるような事項が無いかなど、時間を十分に取り確認するようにしましょう。

最終契約書は譲渡スキームによって名称が変わり、小規模美容サロン事業のM&Aの大半は「株式譲渡契約書」「事業譲渡契約書」のいずれかになります。
なお、居抜きでの店舗譲渡の場合は「資産譲渡契約書」を用いることが多く、今回の記事での解説内容とは異なります。

 

最終契約書の記載項目

最終契約書の記載内容を大別すると、以下のふたつに分類されます。

① 譲渡対象物や譲渡価額、モノとカネの移動など譲渡条件に関する条項。
② 表明保証や誓約事項、その他M&Aの実行前後における相互の約束事に関する条項。

まず①に関して例示すると「譲渡対象物」が挙げられます。
株式譲渡スキームの場合は、譲渡対象物は「発行済み株式」となり、その株式数も記載されます。
事業譲渡スキームの場合は、店舗内装や什器備品などの譲渡対象資産となり、一般的には「譲渡資産目録」などの名称で譲渡対象物のリストを作成し、別紙として事業譲渡契約書に添付します。
なお、従業員の雇用に関する条項が含まれる点も事業譲渡の特徴です。(事業譲渡の場合、従業員は売り手の企業を退職し、買い手の企業に入社する手続きとなるため。)

この「譲渡対象物」を、どのような対価(譲渡価額)で、いつをクロージング日として譲渡するかという譲渡条件を記載していきます。

続いて②に関して例示すると「表明保証」「誓約事項」「前提条件」「解除条項」「競業避止」および、それらに反した際の「賠償条項」が挙げられます。

表明保証とは、おおまかに表すと「相互に開示した情報が正確かつ真実である」という表明と、それを保証することです。
相互という表現の通り、売り手は買い手に、買い手は売り手に対して表明保証を行うことになります。

誓約事項で代表的なものは、M&Aの実行を進めるうえで必要な手続きをクロージング日までに実行するという宣誓となり、M&Aの実行に際して必要となる取締役会での決議や、株式譲渡スキームの際にはチェンジ・オブ・コントロール条項(詳しくはこちらの記事を参照)への対応などが挙げられます。

前提条件とは、M&Aを実行するにあたっての前提条件となります。
宣誓事項とリンクすることが多く、取締役会における株式譲渡の決議やチェンジ・オブ・コントロール条項の対応など「これらの手続きが行われない場合はM&Aが実行されない」という前提になります。

解除条項とは、文字通り「最終契約書締結以降、クロージング日までの間にM&Aの実行を解除できる条件」が記載されます。
こちらも宣誓事項にリンクするケースが多く、最終契約書の締結時点では予期できない事由によって本取引を解除する場合に備えた条項となります。

競業避止につきましては過去の記事にて詳しく解説しておりますので、こちらをご参照ください。

賠償条項は、最終契約書にある義務の不履行や表明保証の違反があった際に、それによって生じた損害賠償に関して規定するものです。請求可能な期間の設定は一般的に1年程度となります。

 

最終契約書のポイント

最終契約書は、ここまでに解説を行ってきたM&Aに関連した契約書の中でも最も重要であり、法的拘束力があるものとして些細な見落としも大きなリスクにつながる契約書です。

特に株式譲渡スキームの場合は、会社法に定められた諸手続きを確実に行う必要や、チェンジ・オブ・コントロール条項の存在により、金融機関や取引先ほか利害関係者との調整項目も多岐に渡るため、売り手および買い手の双方において株式譲渡スキームによるM&A経験が無い場合の難易度は高まります。

サロンM&Aネットのお役立ち情報において、小規模美容サロン事業のM&Aの際に事業譲渡スキームによる譲渡を中心とした解説としている理由もこの点にあります。

サロンM&Aネットのフルサポートプランでは、これら最終契約書の締結に関しても専任コンサルタントがしっかりとサポートいたします。
セルフプランをご利用の際もお電話やメールにてサポートいたしますので、サロンM&Aネット事務局までお気軽にご相談ください。

 

さいごに

サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。

M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。

私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。

M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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