2023.06.15

そもそも事業承継は可能?重要な “COC条項” に関する解説

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解説記事

事業を承継する際の登場人物は「売り手」「買い手」「アドバイザー」だけではありません。
事業を営む上では事業規模の大小に係らず
様々な「契約」が存在しており、その契約相手の承認が無ければM&Aの実行が出来ないケースが様々あります。

この記事では、美容サロンの事業承継時における “COC条項” の影響に関してわかりやすく解説いたします。

なお、この記事は事業譲渡スキームを前提とした概要説明に留めております点をご留意ください。

 

COC条項とは

COC条項とは「チェンジ・オブ・コントロール条項」の略です。
これを簡単に言い表すと、M&Aなどによって契約当事者(売り手)の経営権や支配権が及ばなくなるなどの変化があった際に、契約上の制限が掛かったり契約解除となることを記した条項となります。

すなわち、事業の売り手であるA社と買い手であるB社がM&Aの実行に合意した場合においても、その事業を継続するにあたって必要となる各種契約の地位承継が出来ず、M&Aが不成立となる可能性があるということです。

通常、買い手による法務デュー・デリジェンスなどで必ず確認される項目ではありますが、様々な協議で時間を費やした後に「COC条項によってM&Aの実行が出来ない」となってしまうと、売り手も買い手も時間と労力を無駄にしてしまいます。

売り手は事前に各種契約書の内容を読み込み、COC条項の存在と内容を理解したうえでM&A協議に臨むようにしましょう。
また、買い手も基本合意に進む前の段階にてCOC条項に関する質問を行うことをお勧め致します。

 

特に美容サロン事業のM&Aに影響する契約

美容サロン事業の事業承継時は、一般的に「店舗資産」も引き継ぐことになります。
店舗に関連した契約の中で最重要と言えるのは「建物賃貸借契約書」です。

M&Aスキームが「事業譲渡」の場合、経営権の移転ではないため正確には「売り手側の契約解除」と「買い手側の新規契約」という流れになるのですが、一般的にビルオーナーおよびビル管理会社の立場からは「入居店舗を主体」として所有権の移転が生じるため、COC条項が有効とみなされるケースが大半を占めます。
いずれにしてもビルオーナーの承諾なく「買い手側の新規契約」は出来ないため、COC条項の確認と事前相談は必須と言えます。
また店舗賃貸借契約書ではCOC条項とは別に、特記事項等により「店舗設備の売買を禁止する」という趣旨の記載があるケースも認められますので、これら含めて事前確認をしましょう。

それ以外で重要となるのは、店舗什器や設備を「リース・レンタル契約」している場合の契約書です。
こちらも契約の継続が出来ない場合に「売り手に高額な違約金が発生」する場合や、「施術に必要な機材が回収されてしまい営業ができない」という事態になる可能性があります。
またサロン専売商品の中には「売買契約書」にてCOC条項が設定されているケースもあり、当該商品を仕入れることが出来なくなった場合に現在の売上やサービスの継続性に疑義が生じる場合があるため、こちらも漏れなく確認するようにしましょう。

 

COC条項に抵触する場合の対応

COC条項に抵触した場合に契約解除に直接的につながってしまうのか?といえば、一概にそうとはいえません。
なぜならば、様々な契約においてCOC条項は設定されているケースが多いものの、実際に美容サロン事業の事業承継は日々行われております。

これを解決するには、契約相手に対する事前相談のタイミングと丁寧さに依存します。
タイミングに関するNGパターンは「事業譲渡契約」の直前や契約後です。
特に承継する買い手に関する信用調査が必要な契約(主に高額な契約や保証金の払い込みが必要な契約など)の場合は、早めの相談を行わないと悪い印象を持たれてしまうリスクがあります。

COC条項があるものの承諾を得た事例として、建物賃貸借契約書上では「地位承継を認めない」と明記された案件で、赤字により事業継続に困ったサロンオーナーが退去に関する事前相談をした際に「原状回復費用も勿体ないし、改装したお金も借り入れただろうから誰かに店舗を引き継いでもらったら?」とビルオーナーより促して頂いたケースがありました。
こちらのサロンオーナーは日頃からビルオーナーとすれ違うたびに挨拶を欠かさず、他の入居テナントからの評価もとても高い方でした。

契約書とCOC条項が存在する以上は「認めません」の一言で終わってしまうことも当然にあります。
しかし、契約相手のビジネス上のメリットが見込める場合や、上述のサロンオーナーの事例のように「コミュニケーションや信用度」で承諾されるケースが多くみられます。

日頃から取引先との良いコミュニケーション・信頼関係を築き上げることを意識することが、事業承継においても大変重要となります。

 

さいごに

サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。

M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。

私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。

M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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