2023.11.01

M&Aの際に必要な契約書 “基本合意書” に関する解説

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解説記事

M&Aの協議を進める中で、オーナー同士の面談から次のステップに進む際に取り交わす契約書として “基本合意書” があります。
最終的なM&Aの実行に向けたその後の協議をスムーズに進めるうえで「大筋での合意事項」をまとめた重要な契約書となります。

しかし通常の契約書と異なる点として「この契約書には法的拘束力を付与する条項と付与しない条項がある」という特徴があります。

この記事では “基本合意書” の目的とそこに記載される各項目に関して、わかりやすく解説いたします。

※サロンM&Aネットにもフォーマットがございます。ご活用くださいませ。

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基本合意書の目的とポイント

基本合意書は、最終契約書の締結に向けての調査(デュー・デリジェンス)や最終的な条件の調整等の協議・交渉を進めて行く前段で、最終合意に向けたスケジュールや重要な条件について大筋で合意された内容を双方が確認するために締結される契約書となります。

美容サロン事業のM&Aにおいて、事業規模が比較的小規模なM&Aの場合には高額な費用をかけてのデュー・デリジェンスを実施するケースが少ないことから基本合意書の締結を行わずに進行する場合もありますが、サロンM&Aネットでは本契約の締結の上で協議を進行することを勧めております。

この基本合意書に記載される各条項は一般的に「法的拘束力を付与しない条項」と「法的拘束力を付与する条項」に大別されるのがポイントです。

以下において対象となる条項、および「法的拘束力を付与する・しない条項」がある理由について解説して参ります。

 

一般的に法的拘束力を付与しない条項

はじめに、一般的に法的拘束力を付与しない条項の例を解説します。
契約における「法的拘束力」を分かりやすく表現すると、「契約内容の通りに実行する義務」となります。
即ち、本項で例示する各項目は「基本合意書の時点では『記載の通りに実行することを義務化』することが出来ない(しづらい)項目」といえます。

・M&Aスキームの概要
一般的に事業譲渡もしくは株式譲渡のスキームの一方、もしくはその双方を検討するといった表現が用いられます。
当初はどちらかのスキームで検討していても協議過程でスキーム変更が行われるケースもあるため本条項には法的拘束力を付与しない傾向にあります。

・譲渡価額の概算
M&Aにおいて最も重要な点ともいえますが、基本合意書の時点では一定の幅をもって金額設定をする場合や、金額決定する際の基本的な考え方(例えばEBITDAの3倍)での記載が一般的です。
理由は基本合意後に行うデュー・デリジェンスの結果によって事前に表明されていた売上や利益および将来展望が異なることが見込まれるため本条項には法的拘束力を付与しない傾向にあります。

・スケジュール
主にはデュー・デリジェンスの実施時期と期間、最終交渉、従業員との面談、最終契約書の締結時期、譲渡実行日等に関して大まかなスケジュールを記載します。
こちらも買い手が原因となる進行の遅延のみならず売り手の資料準備に時間が掛かるケースもあり、必ずしもスケジュール通りの進行とならないケースが見込まれるため本条項には法的拘束力を付与しない傾向にあります。

・従業員(役員)の処遇
 事業譲渡スキームか株式譲渡スキームかにもよりますが、協議の中での変更も見込まれるため本条項には法的拘束力を付与しない傾向にあります。

 

一般的に法的拘束力を付与する条項

つづいて、一般的に法的拘束力を付与する条項の例を解説します。
本項で例示する各項目は「条項に反した行為が行われることによって経済的な損失や重要情報の流出による損害が生じる項目」といえます。

・独占交渉権の付与と有効期間
基本合意書の締結時に、買い手よりこの「独占交渉権」の付与が求められます。独占交渉権を分かりやすくいうと「売り手が他の買い手候補との交渉や接触を禁止する」ことです。
基本合意書の締結後に買い手はデュー・デリジェンスの実行に進みます。このデュー・デリジェンスには公認会計士や弁護士等の専門家が関わるケースが多く、当然その費用も高額となります。
よって、買い手がこの期間中に他者と協議し「より良い条件を出してくれる相手を見つけた」という事態が起きると、買い手が負担したこれらの費用は全て無駄になってしまうため本条項には法的拘束力を付与する傾向にあります。

・デュー・デリジェンスの協力義務
前述の通りデュー・デリジェンスには高額な費用が発生しますが、その実行に際しては内容の確認が必要な資料を準備したり、関係先との調整をしたりと売り手の協力が必要不可欠です。
買い手が求める資料提出に対して売り手が非協力的な場合はデュー・デリジェンスそのものが進まず、結果として買い手が負担したこれらの費用は全て無駄になってしまうため本条項には法的拘束力を付与する傾向にあります。

・秘密保持義務
前回の記事において詳しく解説をしていますが、秘密情報の流出は経営そのものに対して大きな損失を生じます。
そのため本条項には法的拘束力を付与する傾向にあります。

・基本合意書の有効期間
一般的に前述の「独占交渉権」の有効期間との整合性がとられるため、同様の期間となります。

サロンM&Aネットのフルサポートプランでは、これら基本合意書の締結に関しても専任コンサルタントがしっかりとサポートいたします。
セルフプランをご利用の際もお電話やメールにてサポートいたしますので、サロンM&Aネット事務局までお気軽にご相談ください。

 

さいごに

サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。

M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。

私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。

M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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