2023.10.17

M&Aの際に必要な契約書 “秘密保持契約書” に関する解説

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  • 買いたい方
解説記事

M&Aは現在の事業を承継するための手段であり、承継先に対して事業に関する全ての情報を開示し、その事業に対する売り手と買い手の認識を一致させる必要があります。

しかしながら、承継自体が決定していない相手に対して経営上の秘密情報を開示することは情報漏洩をはじめとして様々なリスクを伴う行為です。

この記事では、これら秘密にすべき重要情報の漏洩リスクを防ぐための “秘密保持契約” の重要性とその目的に関して、わかりやすく解説いたします。

なお、この記事は事業譲渡スキームを前提とした概要説明に留めております点をご留意ください。

 ※サロンM&Aネットにもフォーマットがございます。ご活用くださいませ。

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秘密保持契約書の目的

M&Aを行う際には現在のオーナーである事業の “売り手” と、その事業の承継をサポートする “仲介者” もしくは “ファイナンシャルアドバイザー”(以下、総じてアドバイザーと記載) および事業の買収を検討する “買い手(候補)” が一般的には存在します。

売り手の立場として、現在営業中のサロンに関する売上・利益や集客状況、スタッフに関する情報、そして「売り手が事業を売却することを検討しているという事実」など、これら経営情報は門外不出にしたい「重要情報」であり、第三者に対して秘密にしたい情報だと言えます。
しかしながらM&Aを行うにあたり、売り手をサポートするアドバイザーはこの重要情報を知ることが出来なければ適切なアドバイスを行うことが出来ませんし、売り先候補となる買い手はこの重要情報を知ることが出来なければその事業が承継すべきか否かを判断することが出来ません。

すなわちM&Aにおいて売り手は重要情報を開示する必要に迫られるのですが、万が一にもこの重要情報が外部に流出してしまったり、買い手候補に開示した情報を「M&Aの検討以外の目的」として利用されてしまった場合には何が起こるでしょうか。

例えば事業の売却を検討していることを「従業員が知ってしまった」場合は瞬く間に全従業員に広がり退職者が出てしまうかも知れませんし、M&Aを目的としてではなく「従業員の引き抜き」を目的に情報を悪用されてしまう可能性も否定できません。

このように「秘密にすべき重要情報の流出や目的外利用」はあってはならない行為であるため、それらを罰則をもって抑止するための契約が「秘密保持契約」なのです。

 

秘密保持契約前に行う情報開示

美容サロン事業のM&Aの場合、一般的にサロン名の開示は秘密保持契約後に行います。
これは前述の情報漏洩に伴う「従業員の退職」や「引き抜き対策」を目的とすることが多く、情報漏洩のリスクが高い秘密保持契約前の時点での影響を最小限に抑えるためです。

一般的に秘密保持契約前に開示する情報としては以下の項目が挙げられます。
・業態(ヘアサロン・ネイルサロン・アイラッシュ・エステ等)
・出店エリア(市区町村や最寄り駅まで)※最寄り駅に同業態が1~2店舗等で特定されやすい場合は市・区まで。
・店舗数
・直近1年間の全店合計売上(年間合計売上)
・上記売上期間の全店合計利益(年間合計利益)
・従業員数(引継ぎ予定につき実際は異なる可能性がある前提として)
・譲渡理由(記載できる範囲で良いが明確に書いた方が買い手の印象は良い)
・譲渡時期(不動産契約の更新時期の兼ね合いも考慮)
・譲渡予定価額(売り手として提案したい譲渡対価)
・特記事項(秘密保持契約後に開示した場合に破談となるような「負の情報」は先に伝えた方が無駄な交渉や契約を免れる)

特記事項にある負の情報とは、例として
・ビルの建て替えが通告されており2年後には退去が必要となる
・消防設備の不備が消防署の立入検査で指摘されており改修に50万円必要となる
・既に従業員より退職の申し出があり3か月後には在籍数が0人になる

これらのように、事業承継後に「事業の継続性や売上の継続性に疑義が生じる理由」や「譲渡対価に加えて大きな出費が見込まれる」など、協議・交渉が破談になる可能性がある情報をいう。

 

秘密保持契約後に行う情報開示

秘密保持契約の締結に伴い、買い手が必要とする情報開示を進めることになります。
但し、秘密保持契約を締結したからといって買い手が望む「全ての情報」を開示しなければいけないということではありません。

秘密保持契約直後に開示する情報は、買い手候補が「買収前提で前向きに協議を進めたい」という意向となるか否かを見極めるために必要とされる情報の開示に留めます。

一般的に秘密保持契約後に開示する情報としては以下の項目が挙げられます。
・売り手情報(法人名や代表者の氏名等)※秘密保持契約書の締結時に自ずと開示される。
・サロン名
・サロン住所
・決算書(個人事業主の場合は確定申告書)※一般的には過去3年分が目安。
・直近1年間の店舗別損益計算書(P/L)※過去分もあれば尚良い。
・従業員台帳(所属店舗・性別・勤続年数・過去3ヶ月の平均月収・社会保険加入有無・所持資格など)※氏名は仮称で良い。
・建物賃貸借契約書(テナント契約の場合)
・店舗平面図
・美容所登録証明書(ヘアサロン・アイラッシュサロン等の美容所登録が必要な業態の場合)
・レンタルおよびリース品の一覧
・集客サイトのレポート(集客サイトを契約・掲載している場合は売上分析のために求められるケースが多い)

ここで開示した情報を買い手候補が分析・検討し、前向きに協議・交渉に進めたい案件か否かという意向を固めます。
前向きに進めたいとなった場合は、以降「オーナー面談」を経て「基本合意書」の締結へと進んでいきます。
※オーナー面談に関してはこちらの記事をご参考下さい。基本合意書に関しては以降お役立ち情報として公開いたします。

サロンM&Aネットのフルサポートプランでは、これら秘密保持契約の締結前後に開示が必要な各種資料の取りまとめに関しても専任コンサルタントがしっかりとサポートいたします。
セルフプランをご利用の際もお電話やメールにてサポートいたしますので、サロンM&Aネット事務局までお気軽にご相談ください。

 

さいごに

サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。

M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。

私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。

M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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