厚生労働省発表・令和4年度衛生行政報告書に見る “理美容室の現状” に関する解説

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近年の象徴的な出来事として2020年に始まる新型コロナウィルス感染症の爆発的感染拡大を受けての閉店、そしてその影響がいまだに取り上げられる美容サロン業界ですが、1年間における美容サロンの閉店数は理美容室で数えるとコロナ前でも8000件を超え10000件以上の閉店数も珍しくなく、恒常的に閉店しています。

もちろんその理由は様々ですが、この傾向は今に始まったことではないのです。

それに対して美容室の新規出店数は閉店店舗数を例年超えており、その新規出店数を下支えしているのはM&Aや閉店店舗の居抜きを活用した新規出店です。

この記事では、厚生労働省発表・令和4年度衛生行政報告書に見る “理美容室の現状” に関してわかりやすく解説いたします。

理美容室の出店・閉店に関する近況

厚生労働省が2023年10月31日付で発表した「令和4年度衛生行政報告例」によると、2023年3月末時点における全国の美容所（以下、美容室）が前年に対して5666軒増加の26万9889軒（前年26万4223軒）となり、今年も過去最高を更新しました。
その一方、全国の理容所（以下、理容室）は前年に対して1935軒減少の11万2468軒（前年11万4403軒）となりました。

今回の調査による公表数値を基に算出すると、理美容室数はこの1年間に1万3500店舗ほどが閉店したのに対して、1万7000店舗ほどの新規出店が行われてたということが分かります。

新型コロナウィルス感染症の拡大を受けた令和2年（2020年）と、その翌年の令和3年（2021年）を比較すると5000軒ほど新規出店数が上回りましたが、その翌年である今回の調査結果でも前述の通り3500軒ほど出店数が上回っているということが公的機関の情報として示されています。

理美容師数に関する近況

つづいて同統計における、店舗に従業する理美容師数をピックアップします。

2023年3月末時点での全国の美容室における従業美容師数は57万1810人となり、前年に対して1万335人増加しました。
その一方、全国の理容室における従業理容師数は20万4883人となり、前年に対して1,864人減少しました。

これらの従業理美容師数を元に前述の理美容室数で割ると、美容室1店舗における従業員数平均は約2.1人、理容室1店舗における従業員数平均は約1.8人となります。

この従業員平均からも分かる通り、引き続き各サロンにおいて従業員の確保は困難な状況は継続しています。
また、人口が多い大都市圏・繁華街での理美容室は全国平均に対して従業員の数が多い（例として東京都の美容室における平均は3.14人）ことに対して、地方・郊外は従業員の数は少ない（例として愛媛県の美容室における平均は1.38人）状況にあります。

なお注意点として、従業理美容師数というのは「従業者」であるため、実際の理美容師数とは異なります。

まとめと今後の傾向に関して

ここまで「令和4年度衛生行政報告例」に記載されたデータを紐解いてきましたが、この結果はヘアサロンのM&Aを行う上で大切なポイントが含まれています。

まず、新型コロナウィルス感染症を経た令和4年（2022年）中においても、ヘアサロンの新規出店数は閉店店舗数を上回っているという実態です。
この理由に関して「令和4年度衛生行政報告例」には表れない要素としてコロナ禍の中で実施された特別融資や各種助成金・補助金による下支えもあるため、令和5年度のレポートはまた違った様相となる可能性もあります。
しかし、新規出店のニーズはコロナ禍からの脱却と共に継続的に伸びており、この基調は今後も変わることは無いと考えられ、今後もM&A（買い手）や居抜きのニーズは高い状況が維持されると考えられます。

また、従業員平均からも分かる通り、引き続き各サロンにおいて従業員の確保は困難な状況は継続していることを背景に、特に複数サロンを展開しM&Aを活用した積極的な出店を行っているチェーンオペレーターにとって、高コスト且つ難易度の高い新規求人・採用を避けることができる「技術者が多いサロン」のM&Aに対するニーズが高い状況にあります。

サロンM&Aネットではこれら背景を元とした、事業譲渡の重要ポイントに関してお電話やメールにて専任コンサルタントによる助言を行っております。
理美容室に限らず、各種サロンのM&Aをご検討の際はサロンM&Aネット事務局までお気軽にご相談ください。