- 2023.09.17
事業譲渡に欠かせない “損益計算書” に関する解説
- 売りたい方
- 買いたい方
美容サロン事業のM&Aを進める際は、様々な資料を準備する必要があります。
入居しているビルの「賃貸借契約書」や、レンタル品などの「契約書」などは基本的にコピーを用意するだけで整いますが、買い手が求める「事業の収益性」を表す資料である「損益計算書」は作成にも時間を要します。
この記事では、美容サロンの事業承継時に買い手から必ず求められる資料である “損益計算書” に関してわかりやすく解説いたします。
なお、この記事は事業譲渡スキームを前提とした概要説明に留めております点をご留意ください。
損益計算書(P/L)とは
損益計算書(以下、P/L)とは、その企業が一定の期間(基本は1年間)でいくらの収入を得て、いくらの費用が発生し、いくらの利益が生まれたかを記載した資料であり、分かりやすく表現するとその企業(事業)の収益力を表す資料となります。
本項の前提となる事業譲渡スキームでのM&Aの場合、このP/Lの内容が買い手が価値算定をする上で最も重要な資料となります。
売り手が法人の場合は決算書の中にP/Lが含まれており、その内容を開示すれば良いの?と思いがちですが、店舗ビジネスの事業譲渡の場合、実際に買い手が求める情報は決算書にあるP/Lとは異なるケースが大半です。
すなわち、美容サロン事業のM&Aをスムーズに進めるには「買い手が必要とする損益計算資料」の事前準備が必要と言えます。
美容サロン事業譲渡の際に決算書のP/Lではダメな理由
まず、決算書のP/Lは「その企業の収益」を表すという点にあります。
事業譲渡の場合は法人全体の経営権を譲渡する株式譲渡と異なり、対象となる事業だけを譲渡します。しかし例えば美容サロン事業とは別に飲食店も出店している場合はそれらの合算でP/Lは表されます。
よって、買い手としては譲渡対象である「美容サロン事業の売上と費用、利益」を切り出して価値判断をすることができません。
その為、買い手が求める損益計算資料は「美容サロン事業だけの数値」でまとめる必要があります。
次に、決算書のP/Lは「年間合計」で表されるという点です。
美容サロン事業は立地毎・季節毎に売上変動が大きい事業であり、全店舗の1年の合計では「収益性の高低」を判断しづらい側面があります。その為、買い手が求める損益計算資料は「店舗毎」「月毎」であるケースが大半です。
これは売り手視点としても「店舗毎」「月毎」の実績を開示するメリットがあります。美容サロンは技術者の人員数に売上が左右されやすいため、1年間の合計では分かりづらい「〇〇店の○月はスタッフが1名欠員していたため利益が少なかった」などの説明もしやすくなり「スタッフ人数が充足すれば別の月と同じように大きな利益が得られる」という事業の価値向上に繋げることができます。
顧問税理士や会計ソフトを活用している場合はそれほど大きな手間はかかりませんが、特に個人事業主として運営している方は月毎で損益をまとめていないケースも散見されますので、M&Aを検討する際には過去の実績ともども資料としてまとめることをお勧め致します。
複数店舗を運営している場合は一括計上した費用もまとめておく
美容サロン1店舗のみを運営している場合、会社もしくは個人事業で発生している費用は全て譲渡対象店舗に紐づいた費用になりますが、複数の店舗を運営している場合には全店舗で利用しているサービス等の費用が各店舗に配賦されずに一括で計上されているケースがあります。
例えば集客サイトの月額利用料は店舗毎に計上しているが、公式ホームページの運用コストは本部費として一括計上されている。というケースです。
これ自体は問題ないのですが、買い手から指摘を受けてから費用を開示するという流れになった場合、買い手は「実際には他にも費用が掛かっているのではないか?」という不安を持ってしまいます。
特に美容サロン以外にも複数の事業を行っている場合は、様々な費用が本部費の中にまとめて計上されている場合が多いでしょう。
よって、譲渡対象である「美容サロン事業」に関連した費用をしっかりと分類し、店舗毎の損益計算資料とともに管理費として開示するようにしましょう。
その際に、併せて「譲渡後は発生しなくなるオーナーの個人的な費用」をまとめることをお勧めします。
例えば代表のみが利用している社用車に掛かる費用や自宅の一部をオフィスとして家賃計上している費用、また接待交際費などです。
これらの費用は事業譲渡後には基本的に発生しなくなるため、この費用を差し引くことで事業の利益は増えることになります。
それにより、事業の価値算定上では「より利益に出る事業」となるため、買い手との譲渡価額の交渉上でプラスに働くことになります。
サロンM&Aネットのフルサポートプランでは、これらの数値の取りまとめに関しても専任コンサルタントがしっかりとサポートいたします。
セルフプランをご利用の際もお電話やメールにてサポートいたしますので、サロンM&Aネット事務局までお気軽にご相談ください。
さいごに
サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。
「M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。
私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。
M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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