- 2023.02.13
事業承継時の従業員雇用に関する解説
- 売りたい方
- 買いたい方
美容サロンのM&Aでは「技術者の引き継ぎ」が前提条件と言えます。
技術者=従業員と雇用主の間では労働契約の締結が必要であり、譲渡スキームによって手続きの違いや従業員向けの説明の違いがあります。
引き継げる技術者が減るということは、結果的に事業承継後の売上や利益の減少につながることになり、譲渡対価の査定にも大きく影響し、場合によってはM&A協議自体の破談にもつながってしまいます。
この記事では、M&Aの成否を決めるうえで最も重要ともいえる「事業承継時の従業員雇用」に関して、事業譲渡時の対応を元にわかりやすく解説いたします。
事業譲渡か株式譲渡かよって異なる
前提として、一般的に従業員は「会社との間で労働契約を締結し、その会社が運営する美容サロンで勤務」しています。
美容サロンM&Aの場合、一般的なM&Aスキームは「事業譲渡」と「株式譲渡」に分かれます。
まず事業譲渡とは「A社が持つ事業(サロンを含む)を切り出してB社に譲渡」することであり、引き続き当該サロンで勤務する従業員はA社を退職し、B社に入社(転籍)して当該サロンで勤務する必要があります。
対して株式譲渡は「A社の株式をB社に譲渡」します。敢えてイメージしやすく例えると、A社のオーナーがB社に代わるという事でありり、A社という箱の中にある全てのヒト・モノ・カネ・情報や契約・権利をB社に引継ぎます。その為、A社と従業員の間で締結された労働契約も引き継ぐため、引き続きA社の中にあるサロンで勤務をする場合は退職の必要がありません。
つまり、事業譲渡の場合は「従業員をA社の所属からB社の所属に変更する必要がある」ことになり、株式譲渡の場合は「引き続きA社の所属のまま勤務する」ことになります。
なお、業務委託契約の方に関しても「A社との業務委託契約」を締結しているため、事業譲渡の場合はB社との業務委託契約を新たに締結する必要があります。
従業員の転籍には本人の同意が必要
美容サロンの承継において、居抜きではなくM&Aを選択する理由は、売り手としては「従業員の継続雇用」、買い手としては「従業員(技術者)の確保」というケースが大半です。
即ち、事業譲渡にて美容サロンのM&Aを成立させるためには「従業員の転籍」は不可欠と言えます。
では、事業譲渡でのM&Aの場合に、A社の事業をB社に譲渡することと併せて従業員の転籍を確約することは出来るのでしょうか?
従業員の立場としてみると「事業を譲渡するのでA社を退職し、新たにB社に転職してほしい。」というオーダーに対して、何の疑問も持たずに同意するのは難しいということは想像に難くありません。
また労働基準法においても、A社を退職し、B社との新たな労働契約を締結する場合には、雇用予定者に対してB社での労働条件の明示を行ったうえで契約への同意を得る必要がある旨が定められています。
結論として、従業員の転籍を確約することは困難です。
しかし「売り手と買い手が事前にやるべきこと、決めるべきことを協力して進める。」ことで、従業員に転籍を受け入れていただける可能性は大きく高まります。
売り手と買い手に求められること
売り手はまず、自社が雇用している従業員に「合意退職」して頂く必要があります。
もちろん、退職していただくうえでは「転職先(買い手)」から従業員本人が希望するのであれば労働契約を締結するという前提を得ておく必要があります。
また、現在残っている有給休暇の取り扱いも従業員にとっては大きなポイントです。買い手との協議でそのまま引き継いでいただく場合もありますし、事業の譲渡日前に消化するケースや、買い取りを選ぶ場合もあります。
また有給休暇は勤続年数によって年次付与数が変わるため、買い手企業に転籍した場合に通算で計算されるのか、リセットされて始まるのかも論点になる項目です。
これら幾つかの項目を挙げた時点でも、売り手が従業員と話し合うには「買い手との事前協議がないと進められない」ということがご理解いただけると思います。
それと同じように、買い手は「現在の雇用条件はどうなっているのか」「自社も同じ条件で雇い入れが出来るのか」「自社の定めた条件のままでも労働契約が締結できそうなのか」などを検討する必要があり、結果として売り手との事前協議や協力体制なしには進めることが出来ません。
当記事を読み、進め方を詳しく知りたいとなられた方は、サロンM&Aネット事務局にてご相談を受け付けておりますのでお電話やお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
さいごに
サロンM&Aネットは、美容サロン事業を営む皆様の事業承継に関するお悩みを全力でサポートいたします。
「M&Aは初めてだから不安だ」という気持ちは当たり前のことです。
私達は美容サロン事業に特化したM&A仲介事業者として、15年以上に渡る豊富なサポート経験がございます。
M&Aに限らず、出店や閉店に関するお悩みやお困りごとがございましたら、無料相談を受け付けておりますので、お電話やお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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